2026.08.13
迎える花、送る灯り。京都で過ごす、やさしいお盆時間
祇園祭の賑わいが少しずつ落ち着くころ、京都の街には、お盆を迎える静かな空気が流れ始めます。
蝉の声が響く昼下がり。
夕方になると、どこからか聞こえてくる風鈴の音。
玄関先を通り抜けるぬるい風と、ほのかに漂うお線香の香り。
夏の京都には、目に見える景色だけでなく、音や香り、肌に触れる空気の中にも、お盆の気配が感じられます。
お盆は、ご先祖さまや大切な人を家へ迎え、家族とともに過ごし、再び送り出す時間です。
忙しい毎日の中で少し立ち止まり、花を飾り、懐かしい人を思い出す。
そんな穏やかな時間もまた、京都の夏の大切な風景なのかもしれません。
京都で過ごす、やさしいお盆時間
ご先祖さまを迎える、夏の支度
京都では8月に入ると、それぞれの家庭で、ご先祖さまを迎えるための準備が始まります。仏壇やお墓をきれいに整え、季節の食べ物やお菓子を供え、花を飾る。
地域や家庭によっては、キュウリやナスに割り箸などを挿した「精霊馬」を用意することもあります。
キュウリは、ご先祖さまに少しでも早く帰ってきてもらうための馬。
ナスは、ゆっくりと戻っていただくための牛に見立てられています。
ひとつひとつの支度に込められているのは、「今年も帰ってきてください」という、迎える側のやさしい気持ちです。
部屋を整え、花を生け、水を替える。
そうした小さな手仕事を重ねるうちに、家の中の空気も少しずつ整い、お盆を迎える心の準備ができていきます。
仏壇だけではなく、家族が集まる場所にも
お盆の花は、仏壇やお墓だけに飾るものではありません。家族が集まる食卓や玄関、いつも過ごしているリビングに、季節の花を一輪飾ってみるのも素敵です。
ガラスの器に水を張り、短く切った花を生ける。
朝、水を替えるときに、ひんやりとした器に触れる。
近くを通るたびに、青葉の匂いや花のほのかな香りを感じる。
花のある場所には、ほんの少し、立ち止まる時間が生まれます。
「この花、おばあちゃんが好きだったね」
「昔のお盆は、みんなでこんなことをしたね」
一輪の花をきっかけに、忘れていた思い出がよみがえったり、家族の会話が始まったりすることもあります。
花は、そこにいない人と、今を生きている私たちを、静かにつないでくれる存在なのかもしれません。
迎えたご先祖さまを、送り火で見送る
8月16日の夜、京都を囲む山々には、五山送り火が灯ります。東山の「大文字」をはじめ、「妙法」「船形」「左大文字」「鳥居形」。
京都の夏を代表する風景としてよく知られていますが、送り火は、ただ夜空を彩るための行事ではありません。
お盆の間、家へ帰ってきたご先祖さまを、再び送り出すための灯りでもあります。
日が暮れるにつれて、街のざわめきが少しずつ静まり、遠くの山に火が浮かび上がる。
華やかな祭りの光とは違う、静かな灯りです。
MATAHARIの屋上からは、「左大文字」「鳥居形」、そして松ヶ崎の「妙」「法」を見ることができます。
毎年、遠くの山に灯る火を眺めていると、送り火は「見るための行事」というよりも、大切な人へ静かに「ありがとう」を伝える時間なのだと感じます。
やがて火が小さくなり、夜の山へと溶けていく。
それとともに、京都のお盆もゆっくりと終わりを迎えます。
花を飾ることは、誰かを思うこと
お盆に飾る花には、こうしなければならないという、ひとつだけの正解があるわけではありません。昔から受け継がれてきた花を選ぶのもいい。
故人が好きだった花や色を選ぶのもいい。
庭に咲いた花を一輪、そっと飾るだけでもいい。
大切なのは、花を選び、飾るその時間に、誰かを思う気持ちがあることです。
「今年も帰ってきてくれてありがとう」
「みんな元気にしています」
「また来年も待っています」
言葉にしにくい思いも、花なら静かに受け止め、そっと代わりに伝えてくれるような気がします。
送り火の灯り。
お線香の香り。
蝉の声。
夕暮れの風。
そして、部屋に飾られた一輪の花。
今年のお盆は、季節の花とともに、大切な人を思い出す穏やかな時間を過ごしてみませんか。
お盆に飾りたい、夏の花
お盆の花というと、白や黄色の菊を思い浮かべる方が多いかもしれません。
けれども、お盆に大切なのは「この花でなければならない」ということよりも、ご先祖さまを迎え、感謝の気持ちを込めて花を供えること。
昔から日本では、その季節に美しく咲き、夏の暑さにも比較的強い花々が、お盆の花として親しまれてきました。
ハス
水辺からすっと茎を伸ばし、大きな花を咲かせるハス。
泥の中から清らかな花を咲かせることから、仏教では極楽浄土を象徴する花として大切にされてきました。
淡い桃色や白色の花びらが重なる姿には、眺めているだけで心が穏やかになるような美しさがあります。
花だけでなく、実をつけたハス台や大きな葉を取り入れると、夏らしく凛とした佇まいのお供えになります。
ホオズキ
鮮やかな朱色の袋が印象的なホオズキは、お盆を代表する植物のひとつです。
その袋状の実は、昔からご先祖さまを迎える盆提灯に見立てられ、帰ってくる魂を導く灯りのような存在として飾られてきました。
風に揺れるホオズキはどこか懐かしく、夏の京都の風景にもよく似合います。
花束やアレンジメントにひと枝添えるだけで、お盆らしい季節感がぐっと深まり、やさしく温かな印象になります。
キク
お供え花として古くから親しまれてきたキク。
品のある花姿に加え、比較的暑さに強く、長く美しさを保ちやすいことも、お盆の花として選ばれてきた理由のひとつです。
白や黄色だけでなく、淡いグリーンややさしいピンクなど、現在では色や咲き方もさまざま。
小菊や洋菊を取り入れることで、昔ながらの趣を大切にしながらも、現代の暮らしに馴染む、やわらかな印象のお供えになります。
リンドウ
深い青紫色が涼やかなリンドウは、夏から秋へと季節が移ろう頃に美しく咲く花です。
暑さの残るお盆の時期にも使いやすく、凛とした佇まいと落ち着いた色合いから、お供え花としても親しまれています。
白や淡い色の花に添えると、全体が引き締まり、静かな奥行きが生まれます。
京都の夕暮れの空を思わせるような青紫は、お盆の穏やかな時間にも、そっと寄り添ってくれる色です。
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MATAHARIでは、昔ながらのお盆の花を大切にしながら、今の住まいや暮らしにも自然になじむお供え花をご用意しています。
ご自宅の仏壇やお墓参りにはもちろん、離れて暮らすご家族や、大切な方への贈り物としてもお選びいただけます。
心を込めて選んだ花が、皆さまのお盆の時間に、そっと寄り添うものでありますように。
お盆のお供え花はこちらからご覧いただけます。













